2022/04/11 ナポレオン戦争期ドイツ・プロイセン史に興味がある方に書籍紹介したい③

 ワイ19世紀ドイツ・プロイセン史オタク、ナポレオン戦争期のドイツに注目してくれているオタクに殆ど会ったことがないこと、クラウゼヴィッツの名前出したら『戦争論』についての議論ばっかりになっちゃうことに辟易してきたので、ナポレオン戦争期のドイツ・プロイセンについて布教するべく、関連書籍を紹介したいと思います。

 今回はその時代の人物が著述した書籍や、WEB上で読むことが出来る資料などを紹介したい。

凡例

  • 〝ナポレオン戦争期ドイツ・プロイセン史〟は、プロイセン王国がフランス革命戦争〜ナポレオン戦争に関わった期間を1791年8月の「ピルニッツ宣言」から1815年年のウィーン会議終了と定義する。
  • 本稿はその期間中のプロイセン王国を中心としたドイツ史を知るために、わたしが拝読し、興味深いと感じた書籍を独断と偏見で紹介するものである。
  • 出版・流通の状況は考慮しない。現在入手困難な書籍も含まれるので、ご了承頂きたい。 大都市や都道府県立の図書館には置いてある可能性が高いので、興味を持たれたら是非探して欲しい。
  • 「タイトルは知っているが、一切読んだことの無い書籍」は除外する。 もしかしたら、ここに列挙した他にも関連する書籍があるだろうとは重々承知の上だが、しっかり紹介できそうに無いので、ここでの紹介は控えさせて頂く。
  • 本稿で紹介する書籍には「一部しか拾い読みしていない書籍」を含むものとする。 一部というのは、1編分以上、1章分以上ということである。紹介する書籍は全体で〝ナポレオン戦争期ドイツ・プロイセン史〟を扱ったものは少ないが、一部でそれが説明されており、それだけでも充分興味深い内容である。
  • なお、この文章を書いているわたしは、高等教育で歴史を専攻していない、〝ナポレオン戦争期ドイツ・プロイセン史〟に興味があるだけの残念なオタクである。 というか、今現在、大学すら卒業していない。残念にも程がある。

その時代の人物が著述した書籍

カール・フォン・クラウゼヴィッツ『戦争論』岩波文庫

 カール・フォン・クラウゼヴィッツの代表作であり、遺作でもある、未完の大著。

 内容の省略が無いことはもちろん、岩波文庫版には巻末にクラウゼヴィッツについての紹介が付いているので、 彼がどのような人物か軽く知りたい方にもおすすめ。

カール・フォン・クラウゼヴィッツ『戦争論』岩波文庫

『戦略論大系〈2〉クラウゼヴィッツ』芙蓉書房出版

 クラウゼヴィッツが著した『戦争論』と『皇太子殿下御進講録』、そしてクラウゼヴィッツの略伝が収録されている。

 注意して欲しいのは、『戦争論』の訳はレクラム版のものがそのまま採用されていることだ。 なので、マリー夫人が加えた序論や、実際に起きた戦闘での実例など、省略されている部分が多い。クラウゼヴィッツが実際に調査・研究したことを調べるには、やはり岩波文庫版など、全訳されているものを採用したほうが良いと言わざるを得ない。

 しかし、上記の通りクラウゼヴィッツが教官時代に作成した『皇太子殿下御進講録』が収められている上、略伝はクラウゼヴィッツの生涯を掴むためにはとても良い。

『戦略論大系〈2〉クラウゼヴィッツ』芙蓉書房出版

『クラウゼヴィッツのナポレオン戦争従軍記』ビイング・ネット・プレス

  • 金森誠也:訳

 クラウゼヴィッツのナポレオン戦争に関する論文や書簡を邦訳した書籍である。内容は以下の通り。

  1. 『一八〇六年十月の大戦争についての歴史的書簡』
  2. 論文『一八一二年のロシアにおける戦い』
  3. 論文『シャルンホルスト将軍の生活と性格』
  4. ワーテルローの戦い前後にマリー・フォン・クラウゼヴィッツ夫人へ送った書簡

 クラウゼヴィッツの手によるとても興味深い内容の文章が、とても分かりやすく訳されている。

 個人的に、クラウゼヴィッツが〝精神の父〟と呼んだゲルハルト・フォン・シャルンホルストの論評が読めるのが素晴らしいと思う。基本的にシャルンホルストをべた褒めした内容だと思うが、シャルンホルストのことを詳しく書いた日本語の書籍の少ない中で、彼のことを知れる数少ない手掛かりだ。また、マリー・フォン・クラウゼヴィッツ夫人への書簡も捨てがたい。知的パートナーでもあった彼女との間の書簡が、のちに『戦争論』となって結実する。本の内容としてはマリー夫人がクラウゼヴィッツに送ったものは掲載されていないが、それでも面白いものとなっている。

『クラウゼヴィッツのナポレオン戦争従軍記』ビイング・ネット・プレス

ヴィルヘルム・フォン・フンボルト『国家活動の限界』京都大学学術出版会

  • 西村稔:訳

 フンボルトが24歳の時分に著した書籍。その後のベルリン大学創設から言語学者としての活動に至るまで、彼の生涯を貫く思想が表明されている。

 フンボルト関連の書籍(特にこの本が出版されて以降)には、必ずと言っていいほどこの書籍やこの書籍からの引用が登場・紹介されてくる。通読はせずとも、ヴィルヘルム・フォン・フンボルトを研究する者は手元に置いておくべきだと考える。 

ヴィルヘルム・フォン・フンボルト『国家活動の限界』京都大学学術出版会

『言語 フンボルト/チョムスキー/レネバーグ』岩波書店

  • 福井直樹・渡辺明:監修
  • 遠藤健樹・佐藤駿:訳

 岩波書店が出版している、『〈名著精選〉 心の謎から心の科学へ』というシリーズのうちの一冊。ヴィルヘルム・フォン・フンボルトの『カヴィ語研究序説』より『人間の言語構造の多様性と人類の精神的発展におよぼすその影響について』が抜粋、訳出されている。

 ここでも上に挙げた彼の著書との関連が示唆されており、フンボルトの活動が言語学に留まらないことが紹介されている。

『言語 フンボルト/チョムスキー/レネバーグ』岩波書店

WEB上で読むことが出来る資料

Deutsche Biographie

 中世から現代に至るまでの著名人の伝記が収録されているウェブサイト。その数73万人以上!!

 プロイセン人に限らず、ドイツ史に登場する大概の人物の名前を検索すれば、良い確率で記事を閲覧出来る。ドイツ史を調べる上での最後の砦と言える存在。

 どのような記事が読めるかの例示も兼ね、わたしが過去にとある人物についての記事を訳出し、Tumblr上に掲載したものを転載します。

2022/04/11 「Deutsche Biographie」より「Scharnhorst, Wilhelm von」日本語訳文

次回予告

 次回はナポレオン戦争期ドイツ・プロイセン及び人物が登場する書籍、また番外編として「タイトルは知っているが、一切読んだことの無い、或いは拾い読み程度しか出来ていない書籍」などを紹介したいと思います。

 また、紹介した書籍は出版時期的にも古いものが多いことが否めません。もし新しい論考などが発表されているようでしたら、随時更新していくつもりですので、よろしくお願いします。情報などありましたら、Twitterなどに送って頂けたら幸いです。

 楽しく歴史オタクが出来る仲間が見つかりますように!

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