凡例のようなもの
以下の感想は放送・YouTube配信当時(2020年6月〜12月)にふせったー(指定した箇所を伏せ字にしてツイート出来るツール。追加で長文も付けることが出来る)を使用してツイートしたものです。省略した句読点の追加や、語句の統一程度の推敲はしましたが、ほぼそのまま掲載しています。
今回は第16話から第20話までの分を扱いました。
全体的にネタバレや、感想を読む方が視聴していることを前提とした内容です。まだ未視聴の方は、その点をご留意ください。
『ウルトラマンZ』第16話を観ました。
ユカさんの怪獣への愛の形を観たと思いました。
今回はオオタユカさんにスポットが当たり、彼女の並々ならぬ怪獣への愛とその形が観えました。
ユカさんは『ウルトラ』シリーズ屈指の怪獣研究家です。
『ウルトラ』シリーズは空想科学特撮と銘打っているだけあって、当時最先端の科学の粋を結集したメカやツール、兵器は頻繁に登場しますし、その開発者も同様の存在感を現しています。有名どころで言えば、初代『ウルトラマン』に登場したイデ隊員は数々の道具や兵器を開発し、『ウルトラマン』が元となったシリーズ作品にも名前を残しています。
また怪獣を研究していた人物としては、『ウルトラマンマックス』のヨシナガ教授がいます。教授は現場に赴くことはせず、DASH基地から冷静に怪獣の分析をしたり、怪獣の出現に伴う怪奇現象を科学的に解析することに力を振るいました。
けれども『ウルトラマンZ』に登場するオオタユカさんは、上述した科学に造詣の深い人々とは際立って目立つ存在であることは、断言出来ると思います。
ユカさんは怪獣の出現に際しては、隊員達と共に現場に出撃し、特製の最新機器で以って怪獣の観察や分析に当たります。実地で得たデータを元に作戦立案に協力し、隊員達の勝利の立役者になることも屡々ありました。平時に於いては討伐した怪獣の解剖を行うなど、活動を終えた怪獣に対しても興味が尽きない様子は、観ているわたし達を楽しませてくれます。それに今回もそうであったように、古代の歴史や文明にも詳しく、古文書を自ら読んで、古来から伝わる伝説を元に怪獣の生態を解析したりもしました。こうした文系の分野にも強い研究者は、彼女くらいではないでしょうか。また、従来の科学者・研究者ポジションのキャラクターがそうであったように、新たな新兵器の開発も行っています。ネロンガ戦で彼女が開発した弾頭で勝利が齎されたのは、忘れられません。ユカさんは際立って怪獣に対して強い存在であると言えるでしょう。
幼い頃のユカさんがホロボロスと出会うシーンは、ユカさんが怪獣に興味を持つ切っ掛けを表現するのに十分だったと思います。幼いユカさんの頭上を遥かに高く覆わんばかりのホロボロスは、薄暗い林の切れ目で静かに佇んでいました。ホロボロ様と呼ばれているそれは、その無言の中でユカさんに語りかけているようにも観えます。やがてホロボロスは地に潜行していくんですけど、その神秘的な様子はユカさんの瞳を輝かせるのに十二分だったでしょう。ユカさんが怪獣研究者になったのも納得です。
しかしそんなことも知らないカブラギ=セレブロによって、ホロボロスはメツボロスにされて、街を無闇に暴れ回らせられます。それはユカさんの言う通り、「ホロボロスが苦しんでる」ようでした。
ユカさんは「ホロボロスが苦しんでいる」様子を観て、「楽にしてあげて」とウルトラマンゼットに懇願しますが、本当はホロボロスを死なせるような真似はしたくなかったと思います。当初からユカさんは、ホロボロスの復活阻止のために動いていたわけで、ホロボロスが眠り続けるならば駆除までするつもりはなかったでしょう。事実、ホロボロスは本来禁足地であった場所が開発された後でも、人間の生活を害することはありませんでした。復活の周期は333年と特定されていましたし、他の怪獣とも違って、それなりの付き合いをしていくことも容易い部類だったとも考えます。メツボロスにならなければ、ホロボロスはまた地中深くで眠っていられたと思います。怪獣にとっても、ストレイジ隊員にとっても、残念な結果になったと言わざるを得ません。
『ウルトラマンZ』第17話を観ました。
ベリアロクの問いを通して、ハルキくんを始め各々の覚悟が明らかになった回でした。
宇宙屈指の実力の象徴とも言えるベリアロクを求めて、バロッサ星人とジャグラス・ジャグラー、そしてハルキくん達の三つ巴の戦いが巻き起こることは予想がついていたものの、それを通して各々の実力行使方法やそれに対する覚悟が問われた回でした。
バロッサ星人は単純明快、彼らの願いは宇宙の秘宝を探し求め、手に入れることです。ベリアロクはバロッサ星人の見た通り、間違いなく宇宙の秘宝でしょう。何しろ、宇宙の〝虚無〟の象徴であるグリーザの腹から取り出され、悪のウルトラマンであるベリアルの因子を受け継いだ、宇宙の穴を縫う針なのです。バロッサ星人はベリアロクという宇宙の秘宝を手に入れ、更なる宇宙の秘宝を手に入れるために活動するでしょう。
ジャグラス・ジャグラーの動機は以下の通りです。
「さあて、どうしたもんかねえ。――俺はこの宇宙がどうなろうと関わりないし、光だの闇だのに興味はない。風の吹くまま、気の向くままさ」
「――だが、斬ってみたい奴らはいる」
ジャグラス・ジャグラー=ヘビクラ隊長の今までの行動を観る限り、自ら怪獣に変身してハルキくんやウルトラマンゼットと対峙したこともありながら、逆に味方して地球に来襲した怪獣を攻撃したこともあります。その点では、〝光だの闇だのに興味はない〟というのは本当でしょう。けれども〝斬ってみたい奴らはいる〟あたり、確固たる目的があり、そのために時にハルキくんやウルトラマンゼットの敵となり味方となって行動しているのだと思います。
そこで思い出すのは、『ウルトラマンZ』のオープニングテーマである『ご唱和ください 我の名を!』の歌詞です。ちょうど今は2番に当たる部分がオープニングで流れるようになっています。そこではこのような歌詞が歌われています。
最後に立ちはだかる相手は誰だ?
正義の心振りかざして牙を剥くヤツ!
わたしはこの歌詞を聴くに、この〝正義の心振りかざして牙を剥くヤツ!〟とはジャグラス・ジャグラー=ヘビクラ隊長のことを言っているのではないかと、思わざるを得ないのです。
ヘビクラ隊長は以前、朝倉リクを前にして、「正義に目覚めた」と言ったことがありました。実際、(わたしは詳細について存じ上げないのですが)ヘビクラ隊長はジャグラス・ジャグラーとしてウルトラマンの敵として立ちはだかったことがありながら、現在は主人公すら所属する防衛隊組織ストレイジの隊長として活動しています。ハルキくんがウルトラマンゼットと遭遇して以降は、何かと魔人の姿でハルキくんの活動を妨害することも屡々ありますが、少なくともストレイジの隊長としては健全に人類の平和のために戦っているのです。
けれども、一方では対怪獣ロボット技術の発達を願っており、キングジョーがついにストレイジのものとなった時はひとり喜んでいる姿を観せました。対怪獣ロボット技術の発達は即ち、ウルトラマン無しでも人類の力で怪獣に立ち向かえる能力の発達をも意味します。それはウルトラマンに敵対する実力にすらならないでしょうか。
ヘビクラ隊長はそのような実力を手にして、ウルトラマンを〝斬ってみたい〟のではないかと、わたしは考えるのです。
一方のハルキくんはどうでしょうか。彼はこう口にします。
「分かんない」
「俺達に何が出来るか、全ッ然分かんない。――分かんないけど! 俺達に! ――力を貸してください」
ウルトラマンゼットは途中で「全宇宙の平和を――」と言い掛けて、ベリアロクに中断させられています。けれども、ハルキくんはいざベリアロクを手にすると、こう叫んでいます。
「宇宙の理を乱す奴は! 俺達が叩き斬る!」
言い方は違うかも知れませんが、言いたいことはひとつだと考えます。全宇宙の平和を守りたい。宇宙の理を乱す奴を叩き斬る力が欲しい。けれど、自分達の手の届く範囲は狭すぎて、そこまで届かない。だから全宇宙の平和を守るために俺達に何が出来るか、全然分からない。分からないけど、分からないからこそ、力を貸して欲しい。
しかしベリアロクの言う通り、未熟でぼんやりした目的です。特に「全宇宙の平和」と言ってしまうところなど、漠然過ぎるでしょう。でもそんな未熟で純粋な願いだからこそ、それを持ち続ける者に付いていけば、「でかいものを斬れる」と思います。ベリアロクもそこに期待を掛けたのでしょう。
ところで、ある意味ではこの問答の場にいちばん居るべきセレブロは、使い古したカブラギの身体を引き摺っていました。服務規定違反になってストレイジからも逐われる身となってしまったカブラギ=セレブロは、追手を逆に利用してカブラギから乗り移ります。カブラギはこれまで散々暗躍してきた記憶を失い、戸惑いを隠すことも無いまま連行されてしまいました。
カブラギはどうなってしまうのでしょうか。ここまで利用されたまま、霞んで露となって消えてしまうのでしょうか。このシリーズのヴィランの座は追手である隊長に移ってしまうのでしょうか。
『ウルトラマンZ』第18話を観ました。
ヘビクラ隊長の「偉大なる先人達だ」に全てが詰まっている気がします。
今回の『ウルトラマンZ』は『2020年の再挑戦』と題して、54年前に制作・放送された『ウルトラQ』の『2020年の挑戦』へのリスペクトがふんだんに盛り込まれた回でした。
2020年の今年、街中で人間や怪獣が消失する事件が多発していました。ハルキくんの気付きにより、カオリと名乗る女性が深く関わっていることが判明します。その女性はかつて1966年に地球を訪れ、大勢の人間を誘拐した誘拐怪人ケムール人と一体化していたのでした。
きっと『ウルトラマンZ』より54年前、1966年の地球でも、怪獣の関わる怪事件が続発していたようですね。それはきっと、『ウルトラQ』で描かれた事件と直接的、あるいは間接的に関わっていたに違いありません。当時は怪獣や宇宙人に対する人類側の抑止力となる、防衛隊組織は無く、それを発見した人間の自発的、積極的な戦いによって防がれていたのだと感じました。『ウルトラQ』で言えばそれが新聞記者である江戸川由利子さん、彼女の知り合いであろう万丈目淳さん、戸川一平さんらの活躍だったのですね。
『ウルトラ』シリーズはそんな彼らの活躍と、怪獣や宇宙人の侵略行為を鑑みた結果、『ウルトラマン』の科学特捜隊や『ウルトラセブン』の地球防衛軍・ウルトラ警備隊が設けられた世界なのだと思います。それぞれの作品がどのような繋がりを持っているかは、『帰ってきたウルトラマン』以降の昭和作品以外ではあやふやな印象を受けますが、『ウルトラQ』での3人の活躍が元になって今があるのは確固たるものでしょう。その点で言えばウルトラマンが登場しないながらも『ウルトラQ』が『ウルトラ』シリーズの第一作ということは間違い無く、『ウルトラマン』以降の作品がその系譜を継いでいるのも揺るぎない事実だと考えます。
それを主張するメッセージが、今回の『ウルトラマンZ』のヘビクラ隊長が発した台詞に詰まっていると思います。
ヘビクラ隊長は54年前にケムール人が出現した際には、勇敢な民間人達と警官隊の奮闘によって撃退されたことをユカさんに報告されて、「偉大なる先人達だ」と言います。ヘビクラ隊長は以前から、ウルトラマンの力無しに、人類の実力だけで怪獣や宇宙人と渡り合えるようにさせるために活動している雰囲気があります。きっとヘビクラ隊長は最終的にウルトラマンが地球を来訪する以前の〝勇敢な民間人達と警官隊〟のようになれるように、人類を啓蒙・教育したいのだろうなと思います。
それだけでなく、ヘビクラ隊長のメッセージには制作側の意図も含まれているのではないかと考えています。ケムール人が初登場を果たした『ウルトラQ』は、円谷プロが初めて制作した番組です。『ウルトラQ』が無ければ『ウルトラ』シリーズは無かったであろうことは上に書いた通りですが、それを現代の制作陣が承知していないはずは無いと思います。ヘビクラ隊長の台詞を通して、制作陣は当時活躍されていたスタッフ達に畏敬の念を示したのでしょう。
けれども今回の騒動にウルトラマンの存在は要らなかったわけではありません。ケムール人は人間を誘拐した後、合成手術を受けることによって人間と一体化し、人間の若い身体を得ていました。謎の女性カオリさんもそうした人間のひとりで、誘拐されただけならともかく、人格が残っていたとは言え既にケムール人と一体化した後だったのです。ヨウコさんや怪獣パゴスと共に彼女が助かったのは、ウルトラマンとベリアロクの実力があってこそだったと思います。
『ウルトラQ』へのリスペクトを忘れず、しかも『ウルトラマンZ』ならではのオリジナリティを発揮している、とても素晴らしい回でした。
『ウルトラマンZ』第19話を観ました。
超獣の生態を知り尽くしたウルトラマンエースの活躍と、ウルトラマンゼットの名前の由来が明らかになりましたね!
今回はウルトラマンエースの登場ということで、随所が『ウルトラマンA』らしさで彩られていましたね。ウルトラマンエースが地球を来訪する時の演出は、その核だと思いました。変身時の効果音や、『ウルトラマンA』のタイトル音楽、更に戦闘時のBGMなどが聴けて嬉しかったです。そもそも、エースのウルトラメダルが光る時などは、ウルトラリングが光る時の効果音が使われていましたね。また、バラバがウルトラマンゼットに向けて、頭部の十字槍状の角を、直上から飛ばした時など、まるで十字架のように観えたのが、バラバが初登場した回のウルトラ兄弟の墓を思わせました。わたしもちょうど『ウルトラマンA』を観終わったところだったので、それらに気付き、興奮出来たのが楽しかったです。
更に、今回はウルトラマンエースの戦い方についての理解を深めるきっかけにもなりました。エースは超獣に対して始終攻撃を繰り返し、休み無く動き続けているのが特徴だと思います。他の兄弟達はそういうことはなく、攻撃に緩急があるように思えるのですが、エースは一生懸命に敵に対して攻撃を繰り返すのですよね。今回はそれについてウルトラマンエース自身の口から理由が話されました。超獣は異次元人ヤプールに作られたもので、生き物のような感情を失くしているため、隙が生まれるまで攻撃を行う必要があるのですね。今回の『ウルトラマンZ』を観たことで、『ウルトラマンA』への理解が深まりました。
けれどもさすが超獣、バラバは強かったですね。まず登場の仕方が特徴的でした。空を割って登場するのは超獣では割とよくある印象を持っているのですが、その空の穴から雷が落ち、爆風が巻き戻るように動いた中から登場したのが、怪獣とは違う感じを受けます。更に両腕が武器と化しており、火を吐き、ミサイルを放つところは、今まで『ウルトラマンZ』に登場してきた怪獣とは一線を画すものです。超獣は異次元人ヤプールに作られたものだというのは周知の事実だと思いますが、改めて戦うために作られた存在だというのを感じました。
そしてまさかゼットの新技が観れるとは思いませんでした。あの「スペースZ」は、ウルトラマンエースの「スペースQ」を応用したもので、少なくともゾフィー、ウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンジャック、そしてウルトラマンエースの力を結集したうえにウルトラマンゼットの力を上乗せしたものだと考えています。そう思えば「スペースQ」同様に一回限りのものとなりそうですが、すごい威力でしたね。ゼットのウルトラホールもエースのそれよりも多いので、その分パワーも大きかったのだと思います。ゼット自身も「俺にこんな力があるなんて……」と驚いていましたが、これを自信に変えて頑張って欲しいです。
それに、今回はゼットの名前について知れる、貴重な回でした。ウルトラマンエースが感慨深げに「立派になったな……」と言うあたり、ふたりには話で語られた以上に深い過去があると見受けました。きっとゼットもエースから貰った名前を誇りに思っているのだと思います。カラータイマーの形状や必殺光線の名前にまで採用し、「ご唱和ください!」と言う程ですから、それは相当なものでしょう。
今回は殺し屋超獣バラバとウルトラマンエースの登場がメインとなりましたが、話の冒頭に現れた宇宙大怪獣ベムスターの暴れっぷりも見逃せない点のひとつだったと思います。
わたしはベムスターが初登場を果たした『帰ってきたウルトラマン』も観たのですが、あの時ベムスターの腹部から内臓が覗いたのが忘れられませんでした。あの口から、ガスタンクどころか宇宙ステーションを丸呑みしたのです。宇宙ステーションの窓からベムスターが腹部の口を開けて迫ってくる様は迫力がありましたし、何より内臓が蠢く様子がグロテスクでした。
今回登場したベムスターはあれを遥かに上回る造形だったと思います。内臓は不気味にテカテカし、ウインダムの腕を飲み込まんとしました。すごく気持ち悪い作りで、最高でした。残念ながら異次元の穴が現れたことにより、それに怯えてしまってウインダムの腕を吐き出して飛び去って行ってしまったことで、出番も終わってしまいました。是非またベムスターの活躍が観たいですね。
『ウルトラマンZ』第20話を観ました。
イナバ親子、そしてそれぞれの子供達との篤い絆が素晴らしかったですね。
今まで『ウルトラマンZ』で、ストレイジのパイロット達を整備という形で後方からサポートするなど、縁の下の力持ち的役回りながら大活躍していたイナバ・コジロウことバコさんですが、その詳細についてはほとんど明らかにされて来ませんでした。今回はそのバコさんの娘が登場する、貴重な話となりました。
バコさんの娘であるイナバ・ルリは有名な科学者らしく、その実力はユカさんがファンとして慕っているほどでした。研究成果のひとつとして世界初の人工生命体「M1号」の生みの親であることが挙げられています。普段はアメリカで活躍するルリさんは、学会のために日本にM1号と共に帰国し、貴重な時間を使ってバコさんと親子デートをすることになりました。
バコさんがルリさんに対する態度は、少し前の世代の父と娘といった印象を受けました。異性の子供に対してどう接したら良いか分からず、また何に関心を持っているのかも分からないのでどんな話題を振れば良いかにも苦心しているように思えました。バコさんが「母さんは?」と、娘と同居しているであろう妻が居ないことを気にしたのも、それを手っ取り早く解決しようとしたからのように感じます。
一方、ルリさんはそんな様子のバコさんに対して「お父さんの職場が見たい」と要望します。これは後の発言を観ると、父であるバコさんに憧れている点からルリさんのいちばんの本心だったと思えますが、仕事人間らしいバコさんと共通の関心を持つことや、〝父親を立てる〟という点においても重要だったと考えます。わたしの考えなのですが、「父親が家庭に於いていちばん地位が高く、責任感が強く、仕事をして経済的に家庭を支える」価値観の中で育ってきた男性は、自分の世界の中心にある仕事のことに興味を持って貰えるのは嬉しいと思うし、娘が娘のことに父親を付き合わせるよりも話が合わせやすいと思います。ルリさんは劇中で「お父さんの職場が見れて本当に良かった」と言っていますが、バコさんも照れ臭そうにしながらも喜んでいたことでしょう。
また、今回はバコさんが中心となって製造された特空機達と、ルリさんが創り出したM1号が勢揃いする機会でもありました。M1号の持つ万能細胞を目的とした悪の組織によって起こされた事故とは言え、互いの研究や仕事の成果が一堂に会することとなったのです。本人達の心境はともかく、視聴者としては楽しかったです。
何より、M1号に対する時間稼ぎ作戦は、現場と後方共に見どころが満載でした。通常の状況ならば使いどころがいまいち分からない、バナナの香りを噴霧する作戦や、祭り屋台を前景にしながら、M1号どころか特空機、ストレイジ整備班に至るまでもが太鼓を叩いて踊る作戦などは、観ていて楽しかったです。
また、それらの作戦に対してあまりに準備が良すぎるのも興味深いですね。バナナの香りが噴霧出来るということは、様々な場合に備えてその他多くの香りのパターンが用意されていると見て良いのでしょうか。視聴者が観ていない、ゼットの手を借りるまでもない場合に於いては、それらのガスが作戦に用いられているのかも知れません。それに太鼓や撥もすぐに調達されていました。整備班の一体感も練度も充分に思われましたし、あれも普段から行う機会があるのではないでしょうか。
個人的には、ヘビクラ隊長が固定電話を常に脇に携えて、長官からのクレームに対応しながら現場に指示を出している様子にいちばん感情移入しました。あの様子は、いつも職場で見る中間管理職が案件対応している様子そのものでした。『ウルトラマンZ』は間違いなく子供向けのコンテンツではありますが、大人が観ても感情移入出来たりする場面があるのは嬉しいです。
